2021年4月23日金曜日

最近使ったCATツール

 CAT ツールとは、Computer Assisted Translation ツールのことで、日本語では翻訳支援ツールと呼ばれています。代表的なのは Trados ですが、ほかにもさまざまな CAT ツールがあります。

最近の仕事で使用した CAT ツールは、Trados、Translation Workspace XLIFF Editor、Memsource、memoQ、XTM です。

このうち、自分で購入したのは Trados だけです。その他はすべて、翻訳会社からライセンスを支給されました。

初心者の方で、CATツールに慣れておきたい方には、Trados の30日間無料トライアル版か、Trados Studio Starter を使ってみることをお勧めします。

フリーソフト、つまり無料の CAT ツールもありますが、仕事で使ったことはありません。

翻訳者がなぜ CAT ツールを使うかというと、翻訳会社からツールを指定されるからです。「この案件は〇〇(CAT ツール名)を使用する案件です」という感じで。ですから、実際の仕事で指定される可能性のほとんどないフリーソフトを使うよりは、Trados に慣れておく方が良いと考えます。

履歴書に「Trados の使用経験あり」とか「Trados Studio 2021 所有」とか書いておいた方が、フリーソフトの名前を書くよりアピールできますし。

Trados をある程度使ってみれば、CAT ツールとはどういうものか理解でき、他の CAT ツールもすぐに使えるようになれます。

★CAT ツールと機械翻訳は違う

初心者さんの中には CAT ツールと機械翻訳(Machine Translation:MT)を混同している方もいるようです。

CAT ツールは、あくまで人間が翻訳します。原文(Source)に対する訳文(Target)を入力していきます。すると、その原文と訳文のペアが翻訳メモリ(Translation Memory:TM)としてデータベース化されて蓄積されていきます。以前に翻訳した原文と似た原文があると、「よく似た原文が以前にありましたよ。そのときは、こう訳しましたよ」と教えてくれるのが CAT ツールです。

機械翻訳は、人間ではなく翻訳エンジンが翻訳します。Google 検索で英語など日本語以外のページがヒットすると、検索結果一覧に「このページを訳す」と表示されることがあります。「このページを訳す」をクリックすると、英語のページが日本語に翻訳されて表示されます。これが機械翻訳です。自動翻訳とも呼ばれます。

★MTPE

機械翻訳の話のついでに書いておくと、翻訳会社から「翻訳ではなく MTPE」とか「MTPE を含む翻訳」という案件を打診されることがあります。

MTPE とは Machine Translation Post Edit の略です。機械翻訳された訳文を修正する作業を指します。MTPE の料金は、翻訳会社によって違いますが、翻訳単価の7割くらいです。つまり、たとえば、翻訳単価をワードあたり 10 円で登録している場合、MTPE 単価は 7 円くらいです。翻訳単価が 8 円の場合、MTPE 単価は 5.6 円くらい。